たいていの人は大地は不動のものだと思っているでしょうから、地盤が沈下するといってもにわかには信じられないかもしれません。
しかしどんな地盤でも盛土や家の荷重によって大なり小なり沈下はするのです。ですから沈下対策をしていない家は、見た目には判らなくてもほとんどの場合多少は傾いています。
全体に同じだけ沈下しても建物にはそれほど悪影響を与えませんが、大きく偏って沈下したら建物をゆがめてしまいますから、
基礎や壁に亀裂が生じたり、建具の開け閉めがスムーズでなくなったり、雨漏りがひどくなったり、地震の時の被害は普通よりも大きくなります。
不同沈下というのはこのように地盤が沈下したために生活に支障が出るほど家が傾く現象を云います。
建築に向かないような軟弱な地盤が宅地として売られています。間取りや外観と同じだけ基礎や地盤に関心を向けてください。
悪い地盤に家を建てるなら、地盤の調査(診断)と適切な基礎補強(治療)が必要となるのです。
不同沈下事故は50~100件に1件と火災の件数よりも多く発生しているのです。
地盤が沈下して家が傾いたなどということが明らかになったら、その家の不動産価値は下がるでしょう。
工務店にとっては不名誉な評判になります。ですからなかなか表沙汰にはなりにくい事件ですが、施主と工務店の間で訴訟問題に発展した例も多いのです。
不同沈下の裁判事例などを見ますと、判決のほとんどは、やむを得なかった場合を除いて家を建てた側、つまり工務店側の責任であることを指摘しています。
それは建築基準法などの法律が、建物の荷重を安全に地盤に伝えることを設計者の義務としているからです。
地盤に頓着なく基礎を決める無責任な工務店も残念ながらまだ多く見かけます。
建築は是非このことを正しく理解している工務店に依頼すべきでしょう。
万が一、家が傾いた場合水平に戻す必要があります。土台から家を持ち上げておいて基礎をやり直すとか、
杭を打ちそれを支えにしてジャッキアップするなどの方法が採られ、場合によって100万~1,000万円の費用がかかることがあります。
また修復が不能で、建て替えするほかないこともあります。これらは建物の全てが地盤に載っているからで、
建物をそのままにして基礎や地盤を手直しすることが難しいからです。
ある大手ハウジング会社の統計資料によると平均して397万円かかっているようです。
通常、宅地の地盤調査においてはほとんどの業者がスウェーデン式サウンディング試験機(試験法はJISで決められている)という機器を使います。
そのせいか地盤調査には決まったやり方があって、どの業者に頼んでも結果は同じだと思っている人も多いようです。
しかし同じ宅地を別々の地盤調査業者がやり、同じ試験データが得られた場合でも、その診断結果は同じにはなりません。
医者が見えない体の中を診察、診断するのと同じで地盤を調査するには見えない地中を正しく把握する確かな経験と技術が必要です。
実は地盤調査で一番大事なことは、医者が顔色や脈診などから多くの情報をつかむのと同じように、
敷地とその周辺の地形観察をしっかりと行うことです。経験の豊かな住宅地盤調査主任技士なら、地盤の内面を地表面の様子から判断できます。
名医とやぶ医がいるように地盤診断の技術も人それぞれですから提案される基礎工法も違いますし、工事費にも当然大きな開きが出てきます。
法外な費用のかかる基礎工法を押しつけられないようにするには、合理的な地盤診断を施主の立場でできる地盤調査業者を選ぶことが大切です。
地盤調査するには何十万円もかかるんじゃないかとご心配される必要はありません。通常なら10万円以下のわずかな費用でできるのです。
ある大手ハウジング会社の資料によると全体の28%の地盤についてなんらかの対策工事が必要とされています。
実感と良く一致する妥当な数字だと思われます。地盤が良くないときの対策としては基礎を補強して丈夫にするか、
地盤自体を改良して丈夫にするかのどちらかです。
地盤補強工事には、表層改良、柱状改良などがあり、基礎補強には、ベタ基礎、杭基礎などがあります。
一般的な工法であれば数十万円から200万円程度と見ておけば良いでしょう。